物流品質の基礎知識!品質向上への取り組みや管理方法について解説 | 関根エンタープライズグループ
2023.01.11
品質と聞くと一般的にモノのクオリティをイメージされるかと思いますが、物流における品質とはサービスや作業の質のことをいいます。
本記事では物流品質とは何か?という基礎知識から、物流品質を左右するポイント、物流品質を上げるために取り組むべきことを解説します。
物流サービスの利用を検討されている方や物流品質の低下でお悩みの方は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
物流品質とは?
物流品質とは、各企業の物流サービスが持つ性質・性能のことで、物流サービスを利用されるお客様の満足度が高ければ「物流品質が高い」と判断でき、また反対に、満足度が低ければ「物流品質が低い」と判断できます。
例えば、商品の取り違え・数量間違い・検品漏れ・情報漏洩・破損・紛失といった配送事故が頻発しているのであれば、物流品質が低い状態だと言えるでしょう。
物流サービスは、たくさんの人が関わり、また、作業工数も多いため、品質の一元管理が難しいものですが、たった一つでもミスや見落としが発生してしまうと、重大なミスや事故に繋がる可能性があります。
物流の品質管理は、このような問題を事前に回避するために重要な役割を果たしているのです。
物流品質の管理方法
物流品質は企業が定めた目標設定やガイドラインに基づいて管理され、物流上のミスや事故を防ぐ目的を持っています。
物流品質の管理は、「100万件配達したうち、ミス・事故・クレームが発生した数は何件か」という数値で管理されるのが一般的で、100万分の1を示す「ppm(パーツ・パー・ミリオン」という単位で示されます。
例えば、100万件中20件で何らかの問題が発生した場合は、20ppmとなります。
ただ、どの程度のミスやクレームを問題があった配送として処理するかは各企業が定めた基準になるため、「他社と比べてどうか?」という比較材料には適さず、あくまで社内での物流品質管理に適した数値となります。
ppmについては「 物流品質の指標「PPM」とは?基礎知識・算出方法・注意点について」で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
物流を左右する6つの品質とは?
物流には、
- 輸送
- 保管
- 荷役
- 包装
- 流通加工
という5つの機能があり、これらは「物流5大機能」と呼ばれています。さらに最近では6つ目の機能として「情報」が新たに追加されました。
物流品質は、物流が有するこれらの各機能ごとの品質チェックがカギとなります。
それぞれの機能の特徴と品質のチェックポイントについて見ていきましょう。
①:輸送時の品質
物流における輸送とは、「工場→物流センター(DC)」「物流センター(DC)→配送拠点(TC/SP/DP)」といった商品の長距離移動を指し、一次輸送とも呼ばれます。
輸送品質は、
- 指定時間が守られているか
- 輸送中に事故が発生していないか
- 輸送中に商品が破損していないか
DC:Distribution Centerの略称。物流の要となる大規模施設。
TC:Transfer Centerの略称。仕分けや配送のみを行う通過型倉庫。
SP:Stock Pointの略称。DCより小規模な保管倉庫。
DP:Delivery Pointの略称。注文者へ配送するためのエリア拠点。
②:保管時の品質
物流における保管とは、物流センター(DC)や配送拠点(DP)といった各拠点で商品を保管・管理することを指します。
保管品質は、
- 商品にあった保管ができているか
- 流動性や出庫頻度を反映した倉庫レイアウトか
- コストは適正か
といった項目で管理します。
③:荷役の品質
荷役とは、積み下ろし・集荷・仕分け・運搬・取り出し・積み付け(積み込み)など、商品を触ったり動かしたりする作業全般のことを指します。
荷役の品質は、
- 時間内に作業ができているか
- 正確に作業ができているか
- 商品の取り扱いは適正か
といった項目で管理します。
④:流通加工の品質
流通加工とは商品に付加価値を与える作業のことで、簡単に言うと、倉庫や物流センターで行う加工作業全般を指します。
例えば、ラベル貼り・タグ付け・箱詰め・袋詰め・検品などが流通加工にあたります。もっと言えば、生鮮食品の二次加工やアパレル商品の値札付け、印刷物の封入・封緘(ふうかん)なども流通加工に含まれます。
流通加工の品質は、
- 各作業が適正に行われているか
- ダブルチェック等が行われているか
- 時間内に作業ができているか
といった項目で管理します。
⑤:包装の品質
物流における包装とは、商品に応じた包装・梱包作業を指します。商品そのものを包む個包装から、運搬・輸送時に商品を衝撃から守る包装(内装・外装)まで含まれています。
包装の品質は、
- 商品に合った包装がされているか
- 緩衝材の種類や量は適正か
- コストは適正か
といった項目で管理します。
⑥:情報の品質
物流における情報とは、在庫・配車・運行・配送といった、販売元から注文者の手へ商品が渡るまでの間にある情報を指します。例えば、商品のロット数や賞味期限、各拠点の在庫数、トラック等の配車指示、運行計画、商品の配送状況などが、物流情報にあたります。
情報の品質は、
- 情報管理システムが正しく使用できているか
- 情報漏洩対策ができているか
- コストは適正か
といった項目で管理します。
物流の品質向上を目指して取り組むべきことは?
物流にはご紹介した通り様々な機能があり、また、運ぶ商品の分類・量・規模などによって作業内容も変わりますので、物流品質向上を目指して取り組むべきことは千差万別だと言えます。
そこで今回は、その中でも近年の物流業界で広まりつつある品質向上に向けた取り組みを3つご紹介します。
品質向上への取り組み①:DX化・IoT化によるミス防止
物流の品質向上を目指す取り組みの一つとして「DX化・IoT化によるミス防止」があげられます。
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、簡単に言うとデジタル技術を活用することです。またIoT化とは、インターネットオブシングスの略称で、デジタル製品をインターネットに接続して活用することを意味します。
物流はたくさんの人が関わる仕組み上、人為的なミスが発生しやすくなっています。例えば、ピッキングミスや配送先間違い、検品の見落としなどは、ヒューマンエラーで発生することが多いミスです。
チェックする人員を増やす・配送を2人1組にするといった対策もありますが、人を増やさなくても、タブレット端末やARガイダンス、デジタルピッキング、デジタルアソートシステム、センシング技術といった最新技術を導入する方法も効果的な対策です。
品質向上への取り組み②:物流システムの導入
物流の品質向上を目指す取り組みとして「物流システムの導入」が増えてきています。
インターネットの爆発的な普及によって、電子商取引(EC)市場は右肩上がりで増加しており、国土交通省の「物流を取り巻く動向について」によると、宅配便の取扱件数は2013年から2018年の5年間で約6.7億個(+18%)も増加しているとのことです。
このような小口配送の増加に伴って、
- 人手が足りない
- ミスや事故が増えた
- 情報が管理しきれない
といった課題が問題視されるようになりました。
そして、これらの課題を解決するために普及し始めたのが物流システムです。物流の6つ目の機能である「情報」が生まれた背景には、システムの導入拡大があると考えられるでしょう。
物流を支えるシステムには、出荷から配送までの一連の流れを管理する配送管理システム(TMS)や商品の入庫・出庫・在庫を管理する在庫管理システム(WMS)、配車や運行計画を管理する配車管理システムなどがあります。
自社で抱える問題を把握して、必要なシステムを導入することは、物流品質の向上に繋がるでしょう。
品質向上への取り組み③:物流アウトソーシングの利用
物流の品質向上を目指す取り組みとして、物流アウトソーシングの利用も有効です。物流のアウトソーシングとは、物流業務を外部に委託することです。
例えば、「配送個数が増加して、保管場所に限界が生じている」という場合なら、わざわざ新たに倉庫を作るよりも、外部へ委託した方がスピーディかつ低コストで新たな保管場所が確保できるでしょう。
このほかにも、「専門性の高い商品の取り扱いに対応しておらず、機会損失している」「小ロットの輸送が増えたが、手が回らない」といった問題も、アウトソーシングで解決することができます。
ちなみに弊社では、
- チャーター輸送サービス
- 建材・資材輸送サービス
- 小ロット輸送サービス
- 保管・流通加工サービス
を提供しており、物流サービスを利用されたい方だけでなく、アウトソーシングを検討されている同業者様にもご利用いただいています。
【まとめ】物流品質の向上は改善目標の設定がポイント
今回は物流品質の基礎知識と、品質向上に向けた取り組みについてご紹介しました。
物流の品質を向上するためには、改善目標の設定がポイントとなります。
自社の物流サービスが抱える課題や問題を洗い出し、改善対象・改善目標を設定して、物流品質を上げる取り組みを進めていきましょう。
目標設定については「 物流品質の目標設定とそのポイント|具体例や取り組み内容は?」で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
全国で総合物流サービスを提供する関根エンタープライズグループ
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埼玉と大阪に物流倉庫を有しているほか、全国各地に拠点を保有。
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