物流業界のSDGsへの取り組みは?具体的な活動事例もご紹介 | 関根エンタープライズグループ
2023.05.24
現在、世界中のあらゆる分野でSDGsへの取り組みが活発に行われていますが、CO2の排出量や過酷な労働環境が問題視されている物流業界も例外ではありません。
そこで今回は「物流とSDGs」に焦点を当てて、国の取り組み内容や、物流企業における活動事例についてご紹介していきます。また、SDGsの概要についても解説していますので、「SDGsがそもそもよく分かっていない」という方から「自社でSDGsへの取り組みを実施していきたい」という方まで、ぜひ参考にご覧ください。
目次
そもそもSDGsとは?
物流業界でのSDGsの取り組みを見ていく前に、そもそもSDGsとは何か?を簡単にご紹介します。加えて、ビジネスシーンでよく耳にするESGやサステナブル(サステナビリティ)との違いについても解説します。
SDGsとは
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、国連加盟193か国が2016年〜2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
2015年9月に開催された国連サミットで採択され、貧困・環境・産業・教育・ジェンダー・エネルギー・平和など、世界全体が抱える問題の解決にむけて、17のアジェンダ(課題項目)が定められています。
SDGsが注目されている理由
SDGsが様々なシーンで注目されている理由は、気候変動や貧富の差、過酷な労働環境などが、世界中で軽視できない程に深刻化しているためです。
気候変動について一例をあげると、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次報告書によれば、『地球温暖化が現在の速度で進行した場合、2030~2052年の間に1.5℃の地球温暖化に到達』と記されています。気温が上昇すると氷河が溶け出して海面水位もあがり、猛暑・干ばつ・暴風雨・洪水といった異常気象の原因に。異常気象によって自然災害が発生したり、熱中症を引き起こしたりと、私たちの健康や安全に危険が及ぶ可能性が高まります。
また、SDGsの問題や課題に取り組むことが、企業価値の向上に繋がるというビジネス的なメリットがあるのも、SDGsが注目されている理由の一つだと言えるでしょう。
出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書第1作業部会報告書(自然科学的根拠)と 従来のIPCC報告書の政策決定者向け要約(SPM)における主な評価 |経済産業省
SDGsとESGの違いは?
ESGとは「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の頭文字をとったもので、投資価値を判断する際に使用される指標です。
ESGは「企業が長期的に成長するには、環境問題や社会問題の解決にも積極的にアプローチすべきである」という考えに基づいており、例えば、ゴミを増やさない・リサイクルやアップサイクルに取り組む・労働環境を改善するといった取り組みがスコアに反映されます。
SDGsとESGは、SDGsの主体は国家であるのに対して、ESGの主体は企業であるという点に違いがありますが、ESGを意識した企業運営は結果としてSDGsの目標達成に繋がりますので、双方は密接に関係していると言えるでしょう。
SDGsとサステナブル(サステナビリティ)の違いは?
サステナブルとは「持続可能な〜」という意味を持つ言葉で、「サステナブルな●●」といった使われ方をします。また、サステナビリティとはサステナブルを名詞化した言葉で「持続可能性」と訳されます。
本来サステナビリティとは、生物的な観点から多様性や生産性が継続するシステムを指すのですが、現在は「環境」「社会」「経済」の3つの観点から、これらが持つ機能を継続していくための、企業や組織内での活動として使われることが多くなりました。
例えば、不要になった資源をリサイクルやアップサイクルをして再利用したり、排水を浄化処理して中水として利用したりといった取り組みが、サステナブルな活動に該当します。
つまり、サステナブルな活動はSDGsの目標達成に向けた取り組みの一つであると言えるでしょう。
物流業界におけるSDGsへの取り組み
物流業界でも、SDGs達成に向けた取り組みが進んでいます。まずは、国や組織などが主体となっている取り組みについて見ていきましょう。
取り組み①:物流総合効率化法
物流総合効率化法とは、正式名称を「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」といい、国土交通省では『流通業務(輸送、保管、荷さばき及び流通加工)を一体的に実施するとともに、「輸送網の集約」、「モーダルシフト※」、「輸配送の共同化」等の輸送の合理化により、流通業務の効率化を図る事業に対する計画の認定や支援措置等を定めた法律』と定義付けしています。
わかりやすく言うと、「物流業務の効率化を目的とした事業を、物流事業者が協力し合って実施すれば、経費の一部を補助したり、税制を優遇したり、規制緩和措置を適用したりといったメリットを付与します」といった内容になっています。
物流総合効率化法は、SDGsで掲げる17の開発目標のうち、
- 9:産業と技術革新の基礎をつくろう
- 17:パートナーシップで目標を達成しよう
の実現にアプローチできる取り組みだと言えるでしょう。
※モーダルシフトとは:環境負荷が低い輸送手段に切り替えること
取り組み②:ホワイト物流推進運動
ホワイト物流推進運動とは、物流のホワイトな労働環境を創出するために、国土交通省が主体となって推し進められている運動です。また、労働環境改善によって、生活や産業活動に欠かせない物資を安定供給する狙いも含まれています。
ホワイト物流推進運動は、主にトラックドライバーの過酷な労働環境を改善する目的があり、オンラインセミナーの開催や情報提供、参加企業同士の交流、物流事業者・荷主企業・納品先企業などへの啓蒙活動が実施されています。
ホワイト物流推進運動は、SDGsで掲げる17の開発目標のうち、
- 5:ジェンダー平等を実現しよう
- 8:働きがいも経済成長も
- 9:人や国の不平等をなくそう
の実現に向けた積極的な取り組みだと言えるでしょう。
なお、詳しい活動内容や参加手順、賛同表明、最新情報については、国土交通省が管轄する下記の公式ポータルサイトをご覧ください。
出典:「ホワイト物流」推進運動ポータルサイト|「ホワイト物流」推進運動事務局(国土交通省)
【物流企業】SDGsへの取り組み事例
SDGsの目標達成に向けて、物流企業ではどのような取り組みが可能なのでしょうか。
そこで、SDGsの目標達成に向けて私たち関根エンタープライズグループが取り組んでいる活動の一例を、該当する開発目標と共にご紹介します。
事例①:自社の作業服のリサイクル
作業着のリニューアルに伴い、旧作業着(約1000着)を集めて、公益社団法人環境生活文化機構を通してリサイクルを実施。古くなった作業着は自動車の内装材へ生まれ変わりました。
【SDGsの該当目標】
- 12:つくる責任、つかう責任
- 13:気候変動に具体的な対策を
事例②:セーフティードライブを推進
物流分野では、輸送時に排出されるCO2が問題視されています。
そこで私たち関根エンタープライズグループでは、デジタル運行記録装置を搭載し、運行記録を数値データ化することで適切な運転指導を実施。安全と環境に配慮したセーフティードライブの推進に努めています。
また、エコドライブの運転テクニックを社内報コラムで周知し、安全と環境に配慮しています。
【SDGsの該当目標】
- 12:つくる責任、つかう責任
- 13:気候変動に具体的な対策を
事例③:安全講習・研修の実施
関根エンタープライズグループでは、運転者に対して月に一度「安全教育」を実施しています。
他にも、職場や作業の状況の中にひそむ危険要因を予測する危険予知訓練(KYT)をしたり、違反者や事故者に対して行うプロドライバー講習も定期的に行っています。
【SDGsの該当目標】
- 4:質の高い教育をみんなに
- 8:働きがいも経済成長も
事例④:多様な働き方実践企業に認定
女性が生き生きと夢を持って活躍することができるような社会づくりを進め、それが地域経済の活性化につながるように取り組んでいく「ウーマノミクス」。
関根エンタープライズグループは、埼玉版ウーマノミクスの輝く女性応援団として「多様な働き方実践企業」に認定されました。
【SDGsの該当目標】
- 5:ジェンダー平等を実現しよう
- 8:働きがいも経済成長も
- 11:住み続けられるまちづくりを
事例⑤:物流業界で横の繋がりを創出
関根エンタープライズグループでは、物流アウトソーシング事業を通じて、業界内での横の繋がりを創出しています。
物流アウトソーシングとは、物流業務の全部または一部を外部へ委託することで、トラックや物流倉庫といったリソースを事業者間で共同化できる他、ドライバー不足の解消にも貢献できるビジネスモデルです。
関根エンタープライズグループでは、同じ方面へ行く複数企業の商品を1台のトラックへ積み合わせて運ぶ混載便や、港~工場輸送までの一括輸送のご依頼も承っています。
これらの活動は、SDGsで掲げる17の開発目標のうち、
【SDGsの該当目標】
- 5:ジェンダー平等を実現しよう
- 8:働きがいも経済成長も
- 9:産業と技術革新の基礎をつくろう
- 10:人や国の不平等をなくそう
- 17:パートナーシップで目標を達成しよう
に該当すると言えるでしょう。
なお、物流アウトソーシングについては「物流アウトソーシングとは?メリット・デメリット・業者の選び方を解説」で詳しく解説しています。
物流におけるSDGsへの活動は重要視される傾向に
今回は、物流とSDGsの関係に焦点を当て、国が取り組んでいる内容と、物流企業の活動事例をご紹介しました。現在の物流業界は、2024年問題やドライバー不足などに着目されがちですが、CO2の排出量や梱包材の廃棄量も軽視できない状況です。
そのため、物流分野におけるSDGs達成への活動は、今後ますます重要視されることでしょう。
今回ご紹介した事例以外にも、私たち関根エンタープライズグループでは、デジタル環境への移行や自然環境意識の高まりを鑑みて、2023年より年賀状のご挨拶も控えさせていただくなど、SDGsの目標達成に向けて様々な活動に取り組んでいます。詳しくは「SDGs」のページでご紹介していますので、ぜひ併せてご覧ください。
全国で総合物流サービスを提供する関根エンタープライズグループ
私たち関根エンタープライズグループは、各サービスに専門特化した6社の会社で構成され、幹線輸送をはじめ、ユニック輸送・共同配送など、あらゆる輸送形態に対応する総合物流会社です。
埼玉と大阪に物流倉庫を有しているほか、全国各地に拠点を保有。
お客様満足度日本一を目指し、お客様のニーズにお応えできるサービスを提供しています。
配送や倉庫での保管だけでなく、各現場での実作業などにも対応しています。お困りごとがありましたら、まずはお気軽にご連絡ください。