物流品質の指標「PPM」とは?基礎知識・算出方法・注意点について | 関根エンタープライズグループ
2023.01.18
物流の品質管理では様々な指標を扱いますが、数値の後に続く「PPM」についてよく理解していないという方もいらっしゃるかと思います。
また、物流サービスを比較検討する際に「PPM」という品質レベルの数値を見かけたものの、比較材料としてどのように活用すれば良いかわからないとお悩みの方もおられるでしょう。
そこで本記事では、物流の品質レベルを表す単位「PPM」についての基礎知識や算出方法、目標値について解説しています。
また、数値(ppm)を扱う際に注意すべきポイントや品質レベルの数値(ppm)を向上させるための取り組みもご紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。
関連記事:物流品質の基礎知識!品質向上への取り組みや管理方法について解説
目次
物流の品質レベルで使われる単位「PPM」とは?
そもそも物流における品質とは、物流センターや倉庫といった物流サービスが持つ性質や性能のことを指します。
物流の品質は、誤出荷率や誤出庫率等のさまざまな指標で管理されますが、それらの数値には100万分の1を表す単位「PPM(Parts Per Million/パーツパーミリオン)」がしばしば使用されます。
例えば、配送した100万件のうち10件で出荷遅延が発生した場合の出荷遅延率は10ppmとなります。
物流品質レベルの数値(ppm)の算出方法
物流品質レベルの数値(ppm)は、ミスやクレームがあった件数をトータル件数で割り、100万を掛けて算出されます。
例えば、物流センターでのピッキングミスの割合は、間違いが発生した件数をトータル作業で割って計算します。
物流品質の目標数値(ppm)は?
物流品質の目標数値(ppm)は、業界やシステムによって大幅に変わってくるため一概には言えませんが、10ppm以下に抑えることが理想とされています。
なお、物流品質全体の目標については「物流品質の目標設定とそのポイント|具体例や取り組み内容は?」で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
物流の品質レベルを数値(ppm)で見る際の注意点
物流の品質レベルを数値(ppm)で見る際は、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。
ここでは、注意すべき点を2つご紹介します。
注意点①:他社比較には不向き
物流の品質レベルを数値(ppm)で見る際に注意すべき点の一つ目は「他社比較には不向き」だということです。
物流の品質レベルは、世界共通ではなく、あくまで各企業が自社で決めた基準になります。
そのため、物流A社ではミスとして処理しているものでも、物流B社ではミスとして扱っていない可能性がありますので、単純にppmの数値だけで比較しても正しい結果は得られないのです。
このことから、品質レベルの数値(ppm)は自社の品質管理の指標として扱うことが適切でしょう。
注意点②:数値(ppm)だけで判断しない
物流の品質レベルを数値(ppm)で見る際に注意すべき点の二つ目は「数値(ppm)だけで判断しない」ということです。
前述した通り、品質レベルの数値(ppm)は「何をミスとして扱うか」という基準が明確になっていないと、意味をなしません。
例えば、作業途中にミスを発見したがリカバリーすることができたのでカウントしなかったというケースが頻発していれば、実際の品質レベルが数値(ppm)に表れないことになります。さらに言えば、スタッフが入力や報告を忘れていたり、隠していたりする可能性も否定できません。
このことから、数値(ppm)はあくまで指標の一つであり、これだけで品質の善し悪しを判断すべきではないと言えるでしょう。
そのため、物流品質を維持するには、正確な数値(ppm)が取れるように基準を明確化するとともに、ミスやクレームが発生している根本的な原因の追及が求められます。
物流品質の数値(ppm)を向上させるための取り組み
物流品質を向上させるということは、ミスやクレームの件数が減少することを意味します。ひいては、お客様満足度の向上やコストの削減にもつながるでしょう。
それでは、品質レベルを良くしていくための具体的な取り組みについてご紹介していきます。
取り組み①:物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
物流品質を向上させる取り組みとして「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」があげられます。
DX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術、機械などを活用してビジネス全体を変革する活動のことを指します。
様々な分野でDXが普及していますが、物流業界においても物流DXが推し進められています。
【物流DXの事例】
- 荷役機械の遠隔操作
- 自動ピッキングロボット
- トラックの自動運転システム
- GPSや生体認証による勤怠管理システム
- 給料や請求書の自動計算システム…など
実際、ほとんどの業務をアナログで行う物流センターと比べると、フルオートメーションの物流センターの方が、一般的に品質レベルの数値(ppm)は良いものです。
忘れてはいけないポイントは、物流DXの目的が、単にデータ管理システムや最新の機械を導入したりすることではなく、こういったデジタル技術を活用して、業務効率や働き方を改善することにあることです。
闇雲に最新技術を導入しようとせず、商品の品質維持(Q)・コスト(C)・納期(D)のバランスを考慮して、自社に必要な技術から導入することが望まれます。
取り組み②:物流アウトソーシングの活用
物流品質を向上させる取り組みとして「物流アウトソーシングの活用」も効果的です。
物流アウトソーシングとは「企業が行っている物流の業務を外部に委託する」ことで、日本国内では1990年代後半から広まったとされています。
配送や流通加工に特化した物流センターや物流倉庫の会社があるように、すでに日本でも物流アウトソーシングは当たり前になっていますが、EC(電子商取引)市場の拡大やコロナ禍による巣ごもり需要によって業務量が急増し、人材不足や業務負担の増加で悩まされている物流現場も少なくないでしょう。
実際、
- 出荷量が増えて倉庫スタッフや配送ドライバーが不足している
- 温度管理ができる倉庫が足りていない
- 建材の輸送を依頼されたが専門知識を持っているスタッフがいない
- 個別配送を依頼されたが受注する余裕がない
といった悩みを持つ物流企業は多いものです。
近年は、部分的に必要な物流業務を外部に委託することができる物流アウトソーシングサービスが増えており、こういったサービスを必要に応じて活用することは、品質レベルを維持するために非常に有効な取り組みだと言えます。
物流アウトソーシングについては「物流アウトソーシングとは?メリット・デメリット・業者の選び方を解説」で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。
物流品質の目標数値10ppmを目指した取り組みを
今回は、物流の品質レベルで使用される「PPM」についての基礎知識と、数値(ppm)を利用する際の注意点、品質レベルを上げる具体的な取り組みについてご紹介しました。
誤出荷率や誤出庫率等といった数値化できる指標は、他社と比較する際の信憑性は低いものの、社内での品質管理にはとても役立つものだと言えます。物流DXや物流アウトソーシングの活用も視野に入れつつ、一般的な目標数値10ppmを目指したいところです。
また、これから物流サービスを比較検討される方についても、各品質レベルの数値(ppm)はあくまで社内運用のものであるという点に留意する必要があるでしょう。
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