物流業界のトレンドを解説!おさえておくべきポイントと今後の展望 | 関根エンタープライズグループ
2023.05.03
本記事では、昨今の物流業界のトレンドについて、ポイントをおさえながらわかりやすく解説していきます。
また、物流業界がこれからどのような歩みを進めていくのか、今後の展望についてもご紹介していますので、物流の最新トレンドが知りたい方や展望を見据えておきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
物流業界のトレンドを解説!おさえておくべきポイントとは?
それではさっそく物流業界のトレンドを見ていきましょう。
今回は、
①:物流の2024年問題
②:小口配送・宅配数の増加
③:オムニチャネル化
④:燃料代の高騰
の4つのテーマに分けて、それぞれのポイントをおさえていきながら詳しくご紹介していきます。
トレンド①:物流の2024年問題
物流業界のトレンドと言えば、「物流の2024年問題」が真っ先に挙げられるでしょう。
働き方改革関連法が2024年4月1日から全面施行されることで、自動車運転業務(トラックドライバー)の時間外労働時間が960時間に制限されます。これによって生じる様々な問題の総称を物流の2024年問題と呼んでいます。
“働き方改革”というキーワードが入っている通り、本来はトラックドライバーの労働環境を改善する狙いがある取り組みなのですが、1日に輸送できる荷物量が減ってしまうため、物流事業者の売上減少や物流の滞留が懸念されています。
そこで、利益を維持するための手段として運賃の値上げが検討されていますが、ただでさえ競争の激しい物流業界で荷主に対して価格交渉をするのは難しく、かと言って、2023年から施行される割増賃金率の引き上げ(25%から50%)に伴い、今まで通りトラックドライバーに残業してもらうと今度は人件費がかさんで利益に繋がらないという事態に陥ってしまいます。
加えて、収入が減少したトラックドライバーが離職したり、運賃をカバーするために物価が高騰する可能性も否めません。
そのため物流業界の2024年問題は、物流業界のみならず、日本経済全体で取り組むべき課題だと言えるでしょう。
トレンド②:小口配送・宅配数の増加
物流業界で特筆すべきトレンドに、小口配送・宅配数の増加も挙げられます。
新型コロナウイルスによる外出自粛要請・巣ごもり需要の高まり・デマによる買い溜めの影響で、2020年以降、小口配送・宅配数が増加しています。
エッセンシャルワーカーと言えば聞こえが良いのですが、世界中の経済がストップする中でも、物流従事者は限られた人数で絶えず稼働を強いられていました。さらに、スタッフやスタッフの家族が感染するケースも増え、人手不足に陥った現場では業務量増加が深刻な問題に。
経済が再開してウィズコロナやアフターコロナと呼ばれつつある現在も、荷受け件数を制限するなどして対応している物流事業者が多く見られます。
悪い面ばかりがピックアップされるコロナ禍の物流業界ですが、置き配や宅配ボックスなどの新たな物流システムが誕生したのは良い一面だと言えるでしょう。これらのシステムによって手待ち時間や業務量が減り、「再配達する必要がなくなって楽になった」「個人事業主なので収入の目処が立ちやすくなった」といった声があがっています。
トレンド③:オムニチャネル化
オムニチャネル化というキーワードも、物流業界のトレンドにピックアップすべきでしょう。
商品を購入する際、私たちは様々な選択肢の中からライフスタイルにあった方法が選択できるようになりました。
【商品を購入する方法】
- 実店舗
- ECサイト(ネット通販サイト)
- アプリ
- SNS
- テレビやカタログ通販
- 訪問販売
- コールセンターなど
また、「ネットで注文して店舗で受け取る」「店舗で注文して自宅で受け取る」など接点をクロスさせることもできます。
このような、販売活動における消費者との接点を多角化する取り組みをオムニチャネル化といい、「顧客のライフスタイルが変わっても長く利用し続けて欲しい」という企業の願いと、「ライフスタイルが変化しても利用し続けたい」という消費者のニーズを満たすことに繋がっています。
これまでありそうでなかったオムニチャネル化ですが、実現するまでにとても多くの課題がありました。実店舗であればお金と商品を引き換えれば良いだけですが、注文方法と受け取り方法が違うとなれば、情報を共通のシステムで一元管理する必要があります。そして、その重要な要素を担っているのが物流なのです。
物流には「輸送・保管・荷役・包装・流通加工」の5つの機能があり、これらを総称して物流5大機能と呼んでいました。しかし近年は、物流に情報管理が求められるようになったことから、新たな機能「情報」が追加されて、6大機能と呼ばれています。
物流分野における情報処理機能の飛躍的な進歩によって、商品が迅速に消費者の元へ届くだけでなく、物流と商流がきちんと分離されるように。また、商品の居場所がタイムリーに把握できるようになったことで、オムニチャネルのような複雑な流通が実現したと言えるでしょう。
なお、物流機能については「物流の機能とは?各機能の役割と効率化に向けた取り組みについて」で、商流については「商流と物流の違いは?商物分離で売上アップを目指そう!」で解説しています。
トレンド④:燃料代の高騰
物流業界のトレンドで外せないのが、燃料代の高騰です。
2020年〜2021年以降、物流の主要コストである燃料代が高騰しています。この主な原因は、新型コロナウイルスによる石油需要の減少と、地球温暖化防止対策による石油供給量の不足、ロシア産原油・石油製品禁輸、円安が重なったためだと言われています。
まず新型コロナウイルスによる石油需要の減少についてですが、世界各国でロックダウンが相次いだことで経済活動が停滞し、石油の需要が急激に減少しました。
需要が減少する、つまり買い手が少なくなれば原油が余りますので、本来であれば原油価格は急落するはずです。しかし、同時に地球温暖化防止に向けた動きが盛んになったことから、石油・ガス開発への投資が抑制されるようになり、採掘量が大幅に減少。現在、世界中で燃料の供給量不足が深刻化しています。
この状態に拍車をかけるように、ロシアからの原油及び石油製品の輸入が一時的・即時的に禁止されたことや、日本とアメリカの金利差によって生じている円安によって、現在の燃料代高騰に繋がったとされています。
日本国内の物流はトラックによる輸送が主流で、荷物を輸送するには多くの燃料を使用しなければなりません。また、燃料代高騰は輸送にとどまらず物流倉庫にも大きな影響を及ぼしており、価格転嫁や経営圧迫に苦しむ事業者が跡を絶たないのが実情です。
物流業界の今後の展望
様々な課題や問題を抱えている物流業界ですが、これらを解決するために、最新技術や新たなビジネスモデルを活用した取り組みが推進されています。
今後、物流業界がどのような方向に向かって進んでいくのか、その展望について見ていきましょう。
展望①:物流DXは自動化から自律化へ
物流DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、物流業務にAIやIoTといったデジタル技術を活用して、物流全体を最適化していくことです。具体的には、業務のオートメーション化と情報管理システムの導入を指します。
まず業務のオートメーション化とは、人の手を使わずに物流業務を動かしていく取り組みで、例えば搬送やピッキングといった荷役作業を代行してくれる物流ロボットや、請求書や受発注業務を代行してくれるシステムなどがあります。
【業務のオートメーション化事例】
- AVG(無人搬送車)
- AMR(自律走行搬送ロボット)
- RPA(業務自動化)
次に情報管理システムとは、商品の流れに付随する情報を一元管理するシステムで、商品の現在地や作業状況、在庫状況、配送状況などを把握することができます。
【情報管理システムの種類】
- WMS(倉庫管理システム)
- TMS(配送荷物管理)
- LMS(統合物流管理)
現在、これらのロボットやシステムの活用は、プログラム通りに動く“自動化”が主な目的となっていますが、今後はロボットやシステム自身が自ら学習して動く“自律化”に向かっていくとされています。
展望②:シェアリングエコノミー
物流業界だけでなく、多くの業界で注目を浴びているビジネスモデルがシェアリングエコノミーです。
総務省では、シェアリングエコノミーを「シェアリング・エコノミーとは、個人等が保有する活用可能な資産等を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動である。(出典:総務省)」と定義付けていますが、簡単に説明すると、仕事やモノなどをみんなで共有し合ってビジネスとして成り立たせる経済の形を言います。
シェアリングエコノミーには「空間・スキル・移動・お金・モノ」の5つの領域があり、例えば、自動車を共有するカーシェアリングや、宿泊施設を共有する宿泊マッチングサービス、タクシーのマッチングサービス、宅配のマッチングサービスなどが該当します。
物流業界でも、物流倉庫や配送トラックのシェアサービスが出始めており、余剰を提供したい事業者と、余剰を借りたい事業者のマッチングが生まれています。シェアリングエコノミーは、持続可能な開発目標SDGsにも貢献できるとして、今後発展していく分野だと言えるでしょう。
展望③:物流アウトソーシング(3PL)の活用
物流アウトソーシングとは、自社で行っている物流の業務を外部に委託することができるサービスの総称です。また、物流アウトソーシングを活用した戦略を3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)といい、全ての物流業務を委託することを全体アウトソーシング、一部を委託することを機能アウトソーシングと呼んでいます。
物流アウトソーシングで委託できる物流機能は輸送・荷役・保管・流通加工の4つが主流で、これらの機能に消費者からの受発注業務や決済業務が加わった形態はフルフィルメントといって3PLとはまた別のビジネスモデルとして区別されています。
前述したシェアリングエコノミーとの違いですが、シェアリングエコノミーは決まった相手と長期的に契約するというよりは、単発での利用を想定しているため、その時々でマッチングする相手が変わるのが一般的です。
対して物流アウトソーシングは、中長期的な利用を想定しているので、スキルや機材、設備、サポート体制、コストなどをしっかり考慮した上で業者を選ぶことができます。
そのため、
- 事業を拡大する予定だが、物流機能に投資したくない
- 物流業務を外部に任せて、リソースをコアな業務に集中させたい
- 中長期的に物流コストを削減したい
- 物流DXを導入したいが、自社にそのノウハウがない
といった方におすすめです。
物流アウトソーシングは、物流業界が抱える大きな課題である人手不足を解消する方法として、今後さらに注目されるサービスだと言えるでしょう。
物流アウトソーシングについては、「物流アウトソーシングとは?メリット・デメリット・業者の選び方を解説」で詳しくご紹介していますので、併せてご覧ください。
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