物流コストの内訳と費用目安を紹介!コスト削減のポイントも | 関根エンタープライズグループ
2023.06.28
梱包資材の値上げや働き方改革が進む中、物流業界各社ではコスト削減に向けた取り組みが進んでいます。
そこで今回は、物流コストの内訳と費用目安について解説します。また、コストを削減するポイントについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
物流コストの固定費と変動費
物流コストは、固定費と変動費に分けることができます。
まず固定費とは、生産量・販売量・取扱物量の増減に関わらず発生する一定の経費を指します。
一般的には水道光熱費や減価償却費、人件費、地代家賃、システム使用料などが該当しますが、物流倉庫の場合は、
- システム利用料
- 業務管理料
- 倉庫保管料
の3項目が固定費に分類されています。
次に変動費とは、売上や取扱物量の増減よって変動する経費を指します。一般的には原材料費や販売手数料、仕入れ原価、車両燃料費などがこれに該当しますが、物流倉庫では、
- 入庫料
- デバンニング料・バンニング料
- 検品料
- 出荷料・ピッキング料
- 梱包料・流通加工料
- 配送料
といった項目が変動費に分類されています。
【固定費】物流コストの内訳と費用目安
それではまず、固定費として扱われている物流コストの内訳と、その費用目安について見ていきましょう。
固定費①:システム利用料
システム利用料とは、倉庫管理システム(WMS/Warehouse Management System)の利用料金を指します。月によって変動することはありませんので、基本料として設定している事業者もあります。
【倉庫管理システムの主な機能】
- 入荷・出荷管理
- 在庫管理
- 棚卸管理
- 返品管理
- 帳票・ラベル発行
費用目安は2〜8万円で、取り扱っている商品や帳票のバリエーション、付帯サービスなどで費用差が生じます。
固定費②:業務管理料
業務管理料とは、物流倉庫の運営にかかる事務手数料を指します。
【業務管理の内容】
- 入荷・出荷リストの確認
- データ入力
- 帳票・伝票作成
- 倉庫スタッフの管理
- ドライバーの手配
- 顧客対応 など
費用目安は1〜5万円で、基本料として定額化している事業者が多い傾向にありますが、出荷件数に応じて変動する事業者もあります。
固定費③:倉庫保管料
倉庫保管料とは保管スペースの利用料のことで、家賃のようなものです。
【倉庫保管料の料金形態】
- 坪貸し保管料:1坪あたりで算出
- 個建て保管料:1個あたりで算出
- パレット建て保管料:1パレットあたりで算出
- ラック建て保管料:1ラックあたりで算出
- 容積建て保管料:空間を占める容積で算出する
上記のように様々な料金形態がありますが、いずれも坪単価を基準に設定されていることが一般的です。1坪あたりの費用目安は3,000〜1万2,000円で、利便性が高い場所や流通量が多い都心部ほど費用が高くなる傾向にあります。
なお、倉庫保管料については「物流倉庫の保管料とは?費用相場・仕組み・計算方法について」で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
【変動費】物流コストの内訳と費用目安
次に、変動費として扱われている物流コストの内訳と、その費用目安についてご紹介していきます。
変動費①:入庫料
入庫料とは、到着した荷物を倉庫内の保管スペースに移動させる作業の費用です。
【入庫作業の内容】
- 数量の確認
- ロケーションの確定
- 商品の移動
- 倉庫管理システムの入力 など
入庫料の費用相場は段ボール1個あたり10〜30円ですが、小さな商品の場合は1ケースあたりで計算したり、反対に大きな商品の場合は1パレットあたりで計算することもあります。
変動費②:デバンニング料・バンニング料
デバンニング料は、フォークリフトや手作業でコンテナから荷物を取り出す際の費用で、バンニング料は反対に荷物を積み込む際の費用を指します。
デバンニング及びバンニングは、荷物を出し入れするだけの単純作業だと思われがちですが、スピーディーかつ丁寧な作業が求められる難易度の高い業務であり、また、安全対策を講じる必要があります。
そのため、前述した入庫料とは別の業務として分けられており、費用相場は1コンテナあたり2〜5万円となっています。
詳しい費用目安については「物流倉庫の料金って? デバンニングの費用の相場は?」をご覧ください。
変動費③:検品料
検品料とは、入庫及び出庫時に実施する検品費用です。
【検品の内容】
- 点数が伝票と一致しているか
- 商品内容が伝票と一致しているか
- 商品や外装に破損がないか など
検品料の費用目安は1個あたり10〜30円ですが、異物混入の確認や動作チェックが必要な場合は80〜200円と高くなります。
変動費④:出荷料・ピッキング料
出荷料とは、物流倉庫から商品を集め、出荷準備を行う作業の費用です。商品違いや点数間違い、送り先間違い、同梱漏れなどの誤出荷を防ぐために、慎重かつ丁寧な作業が求められる工程です。倉庫によっては、ピッキング料と呼ばれることもあります。
出荷料及びピッキング料の費用目安は商品1個あたり10〜30円で、付属品やチラシなどの同梱物がある場合、それらも1つの商品として計上されるのが一般的です。
変動費⑤:梱包料・流通加工料
梱包料とは、商品を段ボールなどに梱包する際にかかる費用です。費用目安は段ボール1個あたり150〜300円で、緩衝材の代金や納品書等の発行手数料もこの中に含まれます。
また、商品を贈答用に箱詰めしたりギフト包装したりする作業は、流通加工料として別途料金が発生するケースが多いです。流通加工料の費用目安は、1個あたり10〜50円程度となります。
変動費⑥:配送料
配送料は商品の輸配送にかかる料金で、倉庫事業者を介して運送業者や宅配業者に支払われます。
配送料は、拠点からの距離や大きさ、重さ、付帯サービス(冷蔵・冷凍・大物・高額)などで決まりますが、一般的な大きさの段ボールで1個あたり400〜1,200円程度が費用目安となります。
また、自社でトラックやドライバーを保有している物流事業者もあり、この場合、仲介手数料が発生しませんので外部の事業者へ委託するよりも価格が抑えられるケースもあります。
物流コストを削減する3つのポイント
物流倉庫を外部に委託していると、なかなかコスト削減を進めるのは難しいところですが、このような状況下でもコスト削減に成功している事業者がいるのも事実です。
そこで、外部の物流事業者を利用しながらコストを削減するポイントについてご紹介します。
ポイント①:物流拠点の集約化
物流コストを削減するポイント1つ目が、物流拠点の集約化です。
それぞれの地域に物流拠点を持っておくと、輸配送にかかる時間が省略できる反面、管理費や維持費のコストが高くなるという課題が発生します。
拠点を分散した方が良いのか、または集約化した方が良いのかを判断するには、保管スペースの無駄を把握する必要があります。
もし各拠点に保管スペースの無駄が発生しているのであれば、ファシリティコスト(スペースコスト)が高い状況だと言えます。この場合、各地に散らばった拠点を集約化することで、無駄なファシリティコストが削減できる上、トラックの積載率のアップも目指せるでしょう。
ポイント②:価格交渉
物流コストを削減するポイント2つ目は、物流事業者に価格交渉することです。
価格交渉する際は、提示価格が適正である根拠を示す資料を準備する必要があります。例えば、原材料価格やエネルギーコストの推移データ、コスト削減に向けた企業努力、自社製品の価値訴求などを提示すると良いでしょう。
また価格交渉時は、一番理想的な価格(提示価格)と、自社が納得できる価格(目標価格)、これが叶わなければ他事業者への乗り換えを検討する価格(最低価格)の3パターンを用意しておき、同時に他事業者のサービス内容や価格設定についてもリサーチしておきます。
ポイント③:3PL・物流アウトソーシングの活用
物流コストを削減するポイント3つ目は、3PL・物流アウトソーシングの活用です。
まず、3PLとはサードパーティーロジスティクスの略称で、物流に関する業務を包括的に外部の事業者へ委託するビジネスモデルを指します。大型ECモールやテレビ通販などがその代表例で、商品の注文受付〜配送までを全て任せることが可能です。
3PLを活用すれば、営業や企画といった自社が集中して行うべきコアな業務に人件費を充てることができますし、これまで倉庫事業者・輸送事業者・配送事業者…と分散していた取引先を一つにまとめることができます。そのため、年間を通して安定した物量がある事業者におすすめだと言えるでしょう。
次に、物流アウトソーシングとは必要に応じて物流業務を外部に委託するビジネスモデルを指します。人材派遣のように、必要な時・必要な分だけ物流業務を任せることができる他、専門分野に特化した事業者も多いため、例えば、「繁忙期と閑散期の差が激しくて、閑散期に無駄なコストが発生している」「専門的な技術を要する商品があるが、対応してくれる物流倉庫が少ない」といった事業者におすすめです。
なお、物流アウトソーシングの仕組みについては「物流アウトソーシングとは?メリット・デメリット・業者の選び方を解説」で解説しています。
物流コスト内訳を把握してコスト削減に繋げよう
今回は、物流コストの内訳と費用目安、コストを削減するポイントについてご紹介しました。
現在の物流業界は、梱包資材の値上げやトラックドライバー不足など、様々な課題を抱えています。そんな中、コスト削減はこれらの課題解決に直結する取り組みだと言えます。
そのためには、物流コストの内訳を把握して、
- どの項目にどれだけのコストがかかっているか
- 適正なコストなのか
といった点を、定期的に見直す必要があります。
3PLや物流アウトソーシングをうまく活用しながら、物流コストの削減に向けて取り組んでいきましょう。
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